2013年04月09日

【第7弾】西谷 寛さん★会員スペシャルインタビュー

今回は、環境絵本「海と空の約束」の作者、
西谷 寛さんの素顔に迫ってみました!
(インタビュー:2013.3.30実施)

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Q:環境カウンセラーになろうと思ったのは?

仕事で環境教育を企画したり支援したりする中で、
環境カウンセラーの人とお話ししたり一緒に
活動したりすることがあったことから、
大事な活動してはるなと思っていました。
それが環境カウンセラーを知ったきっかけですね。

環境活動を一生懸命やられている方々からは感銘を受けながら、
一方では、学校現場や行政だけでは
環境活動を進めることがやっぱり難しい
と感じていました。
自分自身、仕事で環境にかかわっていましたけれど、
仕事を離れたところでも活動ができたほうが
もっとたくさんの大人や子どもたちにメッセージを送ることができる。

地域で取り組む、進める、その役割を
自分でもつとめられたらいいなと思いました。

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Q:「環境カウンセラー」にこだわった理由は?

「環境カウンセラー」は、環境改善、保全活動の方向を向いて
活動をしているという名詞みたいなものですから、
数文字でミッションを理解してもらえる名前でわかりやすい。

「環境カウンセラー」と言う肩書だけで
仕事が降ってくるわけでも活動が広がるわけでもないですが、
「環境カウンセラーとして活動をやってます」というと、
学校や様々なコラボするセクターでも信用してくれたり
「なるほど」と言ってくれる人もいるので
「環境カウンセラーの活動」というのは認められていると思うんです。

あと、友達にも環境カウンセラーが何人かいるんですが、
具体的な活動や研修の話を聞いて、今以上に情報が入ってきたり、
タイムリーな勉強ができる
ことに魅力を感じました。

Q:申請時の論文についてお聞かせください。

論文は冬休みの宿題のような感じで取り組みました。
内容は前半は何かのお題について書き、後半は
「環境カウンセラーとして今後、活動をしていく上で必要なこと」に
ついてしっかり書いたように思います。

Q:書いたものはどなたかにみてもらいましたか?

それはないですね。

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実際に自分の仕事やプライベート活動で、
参加して来た様々な活動の中で
「環境活動はどうあるべきか」とか、
「環境教育ではどういうことが大事か」と考えながらやってきたので、
自分の実践活動から自分なりに整理してまとめた、
オリジナルな論文でした。

今はちょっと検索かけたらいろんな論文や情報が出てくるけど、
それで美しい言葉を並べるような論文ではよくないし、
実際の活動には役立たないから。

やっぱり活動していくのは自分なんで、通ったら通ったでいいし、
通らんかったら通らんかったでもいいし、
通ったからってどうっていうものではないし(笑)。
そんな思いで自分の気持ちを出し切って書きました。

Q:4000文字にご苦労されませんでしたか?

文章は割と好きだから大丈夫。
ただ、既定の文字数でまとめるのは作業的に手間がかかりました。
論文を書くというのはその人が何を考えているかよくわかるし、
いい選考方法だと思います。

Q:一次合格後、二次は面接になるわけですが・・・

面接は平日で、仕事を休んでいかなあかんので、
調整がいりました。でも、それぐらい重要なことだった・・・。

選考も思ってたよりも自分自身の活動のことを話せていい面接でした。
「環境カウンセラーになったらどうするか?
 どんなことを一番大切に考えるか?」など、
予想がついた質問が来ました。

Q:余裕だったんですね?

そうですね(笑)

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論文は判断する人に好みがある、でも
一次が通ったのだから、面接はだしきった。
これで通らんかったら何回受けても無理だと思いました。

Q:そして合格を手にされたんですね。
そもそも西谷さんが環境に興味を持ったのは?


僕は昭和31年、明石に生まれました。
その頃の明石は、蛍も乱舞してたし、
小さな小川にもウナギがいてたし、
海に行ったら小学生でも食べきれないほど魚も釣れたし、
そういう恵まれた自然環境で育った自分がいて。。。

自然のことが好きで、大学でも海のことを勉強しました。
自然環境とか海のこと、魚のこと、生物のこと、
もともとそういう環境問題には興味があったんです。

大学の時に、魚の研究のため、離島生活もしていたんですよ。

Q:おぉ、離島生活ですか?

屋久島から船で一日かけていかなあかんような島、口之永良部島
一日一便しか船がないんです。
瀬戸内海の鞆の浦の仙酔島の実験所でも
住み込みで実験、観察をしていました。

そこの生活は、めちゃくちゃ不便だし、
めちゃくちゃ経済的にも厳しいけど、
すごいゆったりとした人間らしい生活がありました。

それが、都会における我々の暮らしを考えるきっかけになったんです。
我々の生活って一見豊かそうに見えるけど、
ほんとに豊かなのかなぁって。
都会の生活って便利だし、過ごしやすい、なんでもすぐに手に入るけど、
不要な便利に慣れてしまっている我々がいる。

社会人になってからは忙しくって(島に)行かれへんなと
あきらめていたんですけど、
阪神大震災を経験し身近に生死や生活の破壊を体験した時に
「人生1回きりやな」と切実に思ったから、
ちゃんと仕事はやったうえで(笑)、今でもたまに島に行きます。

島ではゴミの収取もなく、排出抑制が当たり前。
食べ物も残さない。自給自足を節制しながらしている。
循環型社会そのものとも言えると思います。
このことは、地球で生きている自分を考える機会になる。
自分の暮らしがどれだけ贅沢か感じる。

都会での暮らしや子育ては、知らず知らずのうちに、
自分のことは自分で、生きるすべを、生きる力をつけることを、
便利さにかまけておろそかにしているのではないかと感じます。

今、その豊かさや幸せや便利ということをゆっくり考えたり、
どうあるべきかと親子や仲間、
地域で話し合ったりすることが大事なのではと、本当にそう思います。

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Q:そのことが今の活動の源になっているのですね。
西谷さんが環境問題で危機感をおぼえたのは?


私が住んでいる今の家は親父が建てた家で
約50年たっているんですけど、
11年前から太陽光発電をしています。

昔、遠くから自分の家を写真に撮ったら、
後ろって全部緑の山やったのに、
今は後ろの山は全部住宅になっていて、
雑木林がなくなっているんですね。

地面を見たらアスファルトとコンクリートばかりだし、
都会に降った雨が地下浸透することなく
一気に川に流れ込んで大水となることによって、
人の尊い命が失われることもあります。

土がない、地面がない、森がない都会においては、
水の循環もおかしくなる
し、川の環境も大きく変わってくると思う。
海に潜るのが趣味なんですが、海って生物多様性の宝庫で
我々に食料を与えてくれる大切なフィールドでもあるし、
酸素を供給してくれたり、安定した気候を保ってくれたり、
すごい大きな要素があるのに
それが崩れかけているなということを感じます。

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みんなでちょっとずつ気を付けて、できることをやっていかないと、
これ以上森や土がなくなり海が傷むと、
一気に環境問題が悪くなっていくようなターニングポイントが
近い将来くるのではないのかなと思います。

Q:西谷さんが講演などの環境活動をするうえで、
気を付けておられることはありますか?


エネルギー問題の講演にしても、生物多様性の講演にしても、
3Rに関することでも、
どんなことを少しでも気をつけたら地球環境に役立つのか?
ということを総合的に伝えたり、相談にのったりしています。

相手の年齢や知識や興味に合わせてメッセージが送れたら、
いい環境カウンセラー活動になるのではと。

Q:例えば、どんな?

ごみ問題やエネルギー問題をメインに考えるときでも
地面がちょっとでもあるんだったら、
コンクリートで覆ってしまうのではなく、
地下浸透をするような仕組みを残す

家の近くに公園があるんだったら、
公園の管理にもかかわって土や緑を育て、
子どもたちと一緒に、土の大切さや水の循環の大事さを
自然環境の中で実感できるような行動を起こす

食糧問題や都会生活で心がけることができるエコスマートな暮らしや
実践事例をを紹介するようにしています。

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自分の家で無駄な電気を使わない、
水道の水をちょっとでも大事にするということが、
環境の保全につながっているということを感じてほしいし、
電気代が助かるということだけじゃなしに、
無駄な電気を使わなかったら古い発電所を止められるし、
たくさんの石油や石炭など燃やさなくてもいいし、
全部ローインパクトの生活につながるわけだから、

みんながちょっとずつ気をつけることによって
地球を大事に使えるというか、
それが要するに循環型社会につながっているということを、
子どもたちとかあんまり環境問題に興味がない人にも
伝えていきたいし実践に繋がることを話したい


家の活動を考えることで、海を守ったり山を守ったり
環境全体を守ることにもつながりますよと。
そのためには自分が実践している必要があると思っています。

そのほか、僕は自治会にもかかわっていて、
家の近くの公園の管理と川の清掃をしようと企画しています。
地域から、足元の環境改善というか、
「環境の再生」をみんなにと取り組んでいます。

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Q:いろいろされているんですね。

ホンマ、忙しいんですよ(笑)

Q:西谷さんといえば、絵本「海と空の約束」ですね。
前に私も本をいただきました。


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※本のあらすじ:大昔、孤独を悲しむ空に、
海が「今に私の子どもたちが遊びに行くよ」と言いました。
やがて海の生き物から進化した鳥が空で遊ぶようになります。
しかし、今度は海が汚染されて元気をなくします。
空は森や川などと協力して海に注ぐ水をきれいにします。
そんな自然のつながりがカラフルな絵をふんだんに使って描かれています。


紙芝居のあとに、年代にあわせて一緒に様々な環境問題を一緒に考え、
意見交換することで環境教育を進めています。

Q:この本を作ったきっかけを教えてください。

神戸市内の川の保全活動のお手伝いとして、
クリーン作戦や生き物探しを子どもたちと一緒にしてたんですけど、

子どもたちにしてみたら、どんだけゴミがたくさんあるかとか、
そのゴミはどこからきてるとか、どこにそのゴミがいくとか、
不思議なんですよね。

そんなことを一緒に考えたり、神戸市内の川でも
これだけ生き物がいるということを調べたりすることは
意義深いことなんですが、

その時に、この川を汚しているのは私たちの生活だということや、
この川の水は結局海に流れて行って
海の生態系にどんな影響を与えて、
その水が蒸発して雲になって陸地に降りそそいで、
水の循環をして、場合によってはそれが飲み水となって
我々の家に供給されていくしくみを

フィールドで伝えたいな、話したいなと思って、
「わかりやすい教材があったらな」と絵本とか紙芝居とか
いろいろ調べたんですが、ピンとくるものがなくて、、、、。

その時に自分が自分の娘に書いた童話で
「水の循環」を考えさせることができる話があったのを
「絵本にしちゃおうかな」と勘違いして(笑)、

最初、「娘の絵を挿絵に・・」と思って作業を進めていたんですが、
大学生になって「忙しいから」とフラれて(笑)。

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神戸在住のプロのイラストレーターさんと知り合い、
1年間越しで絵本と紙芝居を作りました。

Q:タイトルはすぐに決まったんですか?

僕はタイトルをまず考えるから(笑)

ほかにも人に見せられないような童話を書いていますけど、
タイトルからひらめいて
「そうだ!これをテーマに話を書いてみよう」ってそんな感じですね。

「海と空の約束」だけではなくて、
「陸はないのか」、「森はないのか」とか、
「陸は約束しないのか?」とか
そういうことをつっこむ友達はおるけども・・・(笑)

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川の保全活動をしているときに・・・
まだ絵本を出す前にね、
この川の水がどこに行くかって知ってる人って子どもに聞いたら、
「海に行く」とか、もうちょっと勉強してる子は
「海に行った後で雲になって雨になって川になってまた海に戻ってくる」
とかいう子がいて、その時に「すごいな!」って誉めてあげたけど、

「その海に流れた水が蒸発してみんなの家にきてる水道の水も、
元はこの川の水かもしれないぞ、
だからこの川の水がきれかったらみんなの家もおいしい水が飲めるし」
という話が子どもの心に響いたみたいで、
作文にしてくれた子どもがいたんです。

その瞬間、「あぁ、やっぱり子どもには、
心に残るわかりやすいメッセージを送ることが大事やな」
と思ったんです。

Q:その本が、国連生物多様性の
10年日本委員会(UNDB−J)推薦「子供向け図書」
「生物多様性の本箱」〜みんなが生きものとつながる100冊〜
に選ばれたんですよね。


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「海と空の約束」は絵本としてだけではなく、
紙芝居としても全国をかけまわって環境教育に活用されています。

今回、国連の生物多様性10年日本委員会というところが
子どもたちにわかりやすい教材を100冊選んだんですけど、
その中の1つに選ばれたのは、ほんとに嬉しかった。

自薦ではなくて、たくさんの専門家で構成されている
選考委員会の選定ですからね。
20年間、人の目に触れずにあたためてきた、
地方の親爺(笑)の童話がこんなことになるなんて。

環境講演だとある程度環境に興味がある人がこられるが、
絵本だと 万人に読んでいただける=問題提起 できることが
いいと思っています。

実際、去年から地元明石の明石浦漁業協同組合の
「漁師大漁祭り」という即売イベントで毎月、
紙芝居と環境問題を一緒に考えるイベントをさせていただいています。

Q:今後の環境教育に思うこと

各地の環境教育活動は盛んになりつつあるけど、
生き物、自然遊びだけじゃなくて、生活とのつながりを上手に
子どもたちやお父さんお母さんに言ってあげる人が増えないと、
それだけではもったいない。

楽しい思い出づくりにはなるけど、
環境改善にはつながらないのでは
と思う。
指導者の自己満足活動ではいけない。

子々孫々に至るまで、緑と水の美しい地球を守り、
人類が生存し続けることができるかどうかは、
私たちの生き方にかかっている。


地域の環境を守る活動や家庭や学校、職場での地道な環境教育が、
未来の子どもたちに緑豊かなまちを残し
「地球を守る活動」にもつながると思います。

環境をブームやトレンドととらえず、
地道に継続的な実践活動をする人を増やしていくことが必要。
黒谷さん(環境カウンセラー会ひょうご)みたいな(笑)。
そのあたりをやっていかないと、世の中の環境意識は変わらないし、
環境問題も一向に解決しない。

Q:環境カウンセラーに期待する活動とは?

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環境カウンセラーもそれぞれ得意な分野がある。

それぞれが得意分野を提供しあったり、
共有したりすることで刺激になったり、
内輪だけではなく外に向かって発信できたり
学びにつながったりするような組織であってほしい。

また、環境カウンセラーは
自分で発信していく力、広報していく力が大切。
地道な活動をしながらも、その活動をまず知ってもらうことが大事。

若い人たちにも環境カウンセラーの存在を
どんどん知ってもらいたいです。


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【西谷 寛さん プロフィール】

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海と空の約束プロジェクト(http://umisora.petit.cc/banana/) 代表。
神戸市勤務(神戸市生活情報センター所長)。
環境行政(環境教育、2005年〜環境省に出向)経験。

ライフワークとして出版した環境絵本「海と空の約束」や
紙芝居を使ったわかりやすい環境教育を
さまざまなセクターとコラボしながら展開中。

環境省環境カウンセラーのほかに、賀川豊彦記念館総合研究所研究員、
ビオトープ未来の泉を育てる会アドバイザー、
日本児童文学者協会会員、日本環境教育学会関西支部会員、潜水士。

自宅は約30年前から壁面緑化・コンポスト、20年前から雨水利用、
11年前から太陽光発電(3.6kW)実施。

絵本はJALはじめ国内の飛行機に子供用図書として搭載されている。
FaceBookほか活動配信・コラボ先・紙芝居無料貸し出し先募集中。

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【インタビューを終えて】

西谷さんから「海と空の約束」の絵本をいただいて数年。
そして今回は非売品バッジまでいただきました(笑)

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地道な活動を継続することの大変さと意義を学びました。

(リポート:仁保 めぐみ 環境カウンセラー会ひょうご 広報)
posted by ech28-5 at 10:54| 日記